今日は梅雨の中休みと言った所でしょうか。今年の猛夏を予感させる気候になりました。今は紫陽花やユリがとても美しく輝いています。ついついアトリエに籠りがちになってしまう私ですが先日日比谷公園にユリを取材に行きました。早咲きの白百合が見ごろを迎え、赤や黄色のユリはこれから咲くだろう大きな蕾をつけていました。
西洋絵画において、ユリ(特に白)はキリスト教美術を中心に極めて重要なシンボルとして描かれてきました。主に「純潔」や「聖母マリア」を象徴しています。 白い花びらが清らかさを、黄色いおしべが聖なる輝きを表します。また聖母マリアマリアの純真無垢な心を表す代表的な花です。
代表的な画題に受胎告知(アヌンキアチオーネ)があります。大天使ガブリエルがマリアにキリストの懐妊を告げる場面です。ガブリエルが手に持っているか、部屋の壺に活けられた白ユリ(マドンナ・リリー)として必ずと言っていいほど描かれます。聖母子画幼いイエスを抱くマリアの背景や足元に、彼女の属性(アトリビュート)として配置されます。
中世〜ルネサンス期には宗教的な意味合いが絶対的であり、厳格なルールのもとで「純潔のシンボル」として描き込まれました。近代になり宗教的文脈から離れ、純粋な美の対象、あるいは官能性を秘めた花としても描かれるようになりました。
日本画におけるユリは、古くからその華やかさと気品によって、絵画の主役として特別な進化を遂げてきました。西洋の「宗教的な象徴」としての描かれ方とは対照的に、日本では目の前にある植物の命の美しさに重点がおかれたのです。日本は「ユリの王国」であり、世界的に見ても美しく香りの強いユリの原種(ヤマユリ、ササユリ、テッポウユリなど)が多数自生しています。
日本人にとっても西洋人にとってもユリは美の結晶のひとつだったことがわかります。今回取材したユリは本当に大きく香高いユリ達でした。ほかの品種が咲くころにまた取材しにいきたいと思います★★
