梅雨明けがなされ、本格的な夏がやって来ました。子どもの時はしとしと降り続く雨がうざったくて早く夏が来てほしかったのですが今は夏が暑すぎて恐怖になってしまいました。梅雨も性格が変わってスコールみたいな土砂降りですしアジサイやカタツムリがのほほんとしていた時代が懐かしいです。
「神は細部に宿る」という格言があります。意味は、「細かい部分までこだわり抜くことで、全体としての完成度が高まる」ことだといわれています。全体や表面的な見た目ばかりを気にし、細かい部分を疎かにすれば、結果として作品全体の完成度も落ちる。私はこの言葉を噛みしめながら作品に向き合うことが多々あります。
絵画も彫刻もおよそアートというものは細部まで見つめる厳しい目で完成を目指さないといけないと思っています。神様は細かなほころびによって、その作品が本物ではないことを見抜くような気がします。絵画は見る方々に夢の世界を感じて幸せになってもらう役割があります。夢の世界=神様の住む世界です。その細部にほころびがあればそこはもう神様がいない世界です。
だからと言って全て細部まで敷き詰めて凝り固まった作品は見る人が入る余地がありません。神様も窮屈です。明治期の思想家である岡倉天心は「完成品ではなく未完成品ゆえに、受け手の想像力によって完成に至る」と言っています。心学にも八分の力を重視する考えがあります。一見矛盾しているようです。しかし残り二分=細部ではないと思えばなるほどなぁと考えます。細部を突き詰めつつ余裕、余白を残す…禅問答のような感じ…。名品と呼ばれる作品には必ずこれがあると考えながら日々精進していきたいです。