日本の洋画界七十年

 少しずつですが、[日本の洋画界七十年の歴史]を読み進めています。大正から昭和にかけて近代日本美術書に出てくる画家の名前がどんどん出てくるのが面白いです。私が学生時代お世話になった大学教授のお父様も出てきました(^∇^)

制作中の猫
制作中の猫

 藤田嗣治の個展を行ったエピソードも出てきました。画廊にフラリと立ち寄った藤田に日動画廊の長谷川仁が個展を提案した話です。銀座のような大きな都市に画廊がなかった当時、藤田にとっても長谷川の提案はわたりに船だったようです。

 面白かったのは藤田の作品価格についての話でした。彼の作品はドル建てでした。小作は二百ドル、大作は二千ドルを越えていました。円ルートが1ドル三円だったときのことです。作品はとても高額になってしまいます。長谷川は1ドル一円として価格を設定しようと持ちかけます。藤田は結局承諾し、「売れたら三割を君にあげよう」と約束しました。

 個展は大成功しました。その後日動画廊には個展をしたいという画家が増えたということです。