雪の長野

 この冬初めて長野県に行きました。そのときちょうど初積雪であり関東とはまったく違う雪のさらさらとした質感にびっくりしたことを覚えています。私にとって雪はべちゃべちゃと湿気を含んだものという印象があったので、カルチャーショックでした。そんな粉雪が舞う中に大きな山脈がけぶるように雄雄しく私の前に立っていました。

 思えば雪山を描くのは初めてのことです。正直描き始めはちょっと躊躇しました。色のない世界なので絵になるのかとイメージがわかなかったためでした。白という色にはとても難しい色です。温かみのある白もあれば冷たい白もあるし、何色にでも染まるはかなさを持っています。冷たい寒々しい作品を描くには少し抵抗があります。長野の雪に対するイメージが柔らかく、包み込むような感じがあったからです。ですから何回か色味のイメージ作りに水彩を試しました。そして油彩に移ったのです。今のところ順調かなあと思っていますが、まだまだ先は長い、慎重に進めたいと思います。

 

※作品はF10号(455×530mm)です。