パン

 デッサンにパンを使うということは一般の人にもなんとなく知られているようです。アトリエに残されたパンを絵に全くの素人である知人が「あ、これ絵に使うんだよね」と、その役割をおぼろげながら理解していたのにちょっと驚きました。
 予備校時代、木炭デッサンの時に食パンを使うことを習いました。木炭を消したり、ぼかしたりするのに利用します。高校の授業後に通う予備校、当然食べ盛りの高校生(特に男子)はデッサン中に木炭のついたパンをパクパクと食べては画板に向かっていました。今思い返せば、そんなもの食べなくてもなんか買ってくれば良いのに…と思わないこともないのですが(*_*)美味しいわけでもないし…。何かそうして、寸暇を惜しんでデッサンしている自分がちょっと誇らしく思えていたのかも知れません。

 私もそうやってパンを食べたのかな〜と思い返すのですが、記憶に残っていません。それよりも、眠くなった時に予備校の売店で買う紙コップのコーヒーの方が印象深いです。この時ぐらいからブラックコーヒーの味を覚えました。私は3年浪人しているので青春イコール受験という感じでした。だから今日、パンのことを指摘され久しぶりにそんな若い頃の自分を思い出したのです。

この3年がなかったらどうなっていたのでしょうか?こんなにも長く作品を作り続けていなかったかも知れませんし、続けていたかも知れません。しかしこの3年の浪人は確実に今の私を作る大きな要素になっていると思います。