続けるということ

 私は作家活動以外に水彩画をサークルで教えています。ご高齢の方向けのお教室です。人数も多く和気藹々としています。
今日から新しく入られた男性は少し前に脳溢血を起こされ今利き手が以前のように動かない状態だそうです。5~6年前にやっていた水彩画をリハビリを兼ねて再開したいということでした。

  今は鉛筆を持って春野菜を描く課題です。作業が終わり感想をお聞きすると「前にやってたイメージや感覚と、今の手の動きにズレがある」「なんだか変な気分だ」と仰っていました。それでも「楽しかった」と笑顔が印象的でした。

  このことをきっかけに帰りのバスの中、私は作家活動をしているし、幸運にもこうやって続けていられるけれどもし手が動かなくなったら?目が見えなくなったら?それでも描き続けるだろうか?と自問自答してしまいました。彼の言葉はそんなことを考えさせられた一言になったのです。
 考えても仕方ないことだし、その時になって見ないと答えは出ないことです。ですがそれはいつも私のそばにある不安です。ですから今は描きたい、描けるそして発表出来るこの貴重な時間を大切にしたいと思わずにはいられません…。

※作品は、この前サークルの中で描いた水彩画です。