画家の愛した酒

 画家の愛した酒として名高い物というとやはりアブサンでしょうか。リキュールの1つで、フランス、スイスなどで一時期とても流行したお酒です。ニガヨモギ、ウイキョウ、アニスなどスパイスやハーブで作られた薬草酒です。
 アブサンは、アルコール度数が70度ととても強いお酒です。低いものでも40度あります。安価に手に入るお酒だったため、貧窮した人々が酔うために飲用するには好都合のお酒でした。19世紀フランスの芸術家たちはこのお酒を愛飲していました。ゴッホが有名ですが、ロートレックや詩人のヴェルレーヌなども、このお酒を飲んでいました。

 非常に、中毒性の強いお酒だったようです。ウィキペディアによると、ニガヨモギには幻覚を起こす成分が含まれており、コンゴで禁止されたのを皮切りに、ヨーロッパ全土で禁止されるようになったお酒です。幻のお酒と言えるでしょう。。アブサンを訳すと「存在しない」になるとか、意味深いと思います。
そんなアブサンですが、日本では禁止されていませんでした。ですから、太宰治などもこのお酒を好んだようです。「飲み残した一杯のアブサン。自分は、その永遠に償い難いような喪失感を、こっそりそう形容していました。絵の話が出ると、自分の眼前に、その飲み残した一杯のアブサンがちらついて来て、ああ、あの絵をこのひとに見せてやりたい、そうして、自分の画才を信じさせたい、という焦燥にもだえるのでした」ということを言っています。

     現在は、含有量の基準がWHOで定められ、製造が復活しています。禁止国だったスイスでも解禁になりました。当時とはちょっと味わいが違うかもしれませんが、アマゾンなどで購入可能なようです。飲みたいような、怖いような、、、?