自然美

 自然は、今も昔も変わらない…。本当にそうでしょうか。私は今までたくさん自然の木々、川、山などを画題とした作品をみてきました。そこには私の知らなかった自然の美しさがあったように感じています。

  右から、モネ、ゴッホ、セザンヌの山を画題にして制作した作品です。同時代、互いに交流もあり影響を受けあっただろう3人ですがそれでもこれだけの違いがあるのです。

 

 モネは、冬山の白さがとてもまぶしい作品だと思います。山の形状よりその色を大事に、そこに感動を覚えて表現しているように思います。彼の作品は一貫して色彩がきれいです。モネは目をやんでいました。その眼には山の形よりも色が魅力的に見えていたのでしょうか。

 ゴッホは、とても力強く特異な筆跡で描かれた山です。山や、草原の動きから風の流れや大気を感じてそれを表現したかったのではないかなと思います。山の稜線がはっきりとしていかにも浮世絵の影響を受けたゴッホならではの作品ではないでしょうか。

 セザンヌは何度も何度も、サントヴィクトワール山を描きました。この聖山は彼をはじめキリスト教徒にとって神そのものだったようです。彼の山はゴッホとはまた違った刻み込むような筆跡が印象的です。まるで山と自分(セザンヌ)との間にある空気の厚みを刻んでいるように思います。距離、というのかもしれません。それはそのまま彼と神との距離を描いていると感じました。

 

 これは、私の個人的印象で本当にそうであったかはわかりません。でもそれぞれに、自然美に己の思いや表現を反映して描いているような気がします。大きな意味で彼らの自画像なのではないでしょうか。自画像を描くよりもっと、自分を描ける対象が自然であり、それだけ自然には奥深く大きなの美があると思います。