三椏(みつまた)

 桜も終盤です。町にはパンジー、クロッカス、たんぽぽと色とりどりの花が咲き、春を楽しんでいるようです。

三椏もこの季節の花です。多くの家の軒先で赤、白、黄の花が毬のように輝いています。

 三椏は楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)とともに和紙の原料になります。木の皮の部分をはいで使います。大学時代実習で一度だけ紙すきを体験しました。楮と三椏を混ぜてつかっいましたが、木の皮が紙になるということを、頭で理解していても実体験することでより日本古来の卓越した文化がわかり実りある時間になりました。そして、私の作った和紙はとても厚ぼったく、でこぼこしていてこれじゃあ使えませんということもわかりました(苦笑)

 

 この三椏は紙幣の原料にもなっています。雁皮などに比べて生育が容易で、堅牢な、安定した原料だからです。手すき和紙としても楮に続き、主要な和紙はこの三椏が使われています。障子が手漉き鳥の子紙だった場合それは三椏が使われたということです。

 

 三椏は三叉、三枝とも書きます。枝が絶えず三つに分かれていくからです。日本の文化を作ってきた紙。ある意味で私たちにいちばん近い植物なのではないかと思いました。