リスペクト・アーティストNo.10

 大学を、卒業してから、たくさん異なった分野で仕事をするアーティストに出会いました。星野菜月(ほしのなつき)さんは、陶でオブジェを作っている方です。陶というと陶器、お茶碗や、花瓶、お皿が馴染み深く正直私にとって美術というより、工芸や民芸に近い感覚でした。

 この方は、陶の乳白色を基調に、想像上の動物を作っています。犬の顔を持った少女、つる状の植物を、身にまとったジュウシマツ…どれも幻想的でこの世のものとは違う世界観があります。ですが、私にはどこか懐かしい、ホッとさせる印象があります。その動物たちの目が優しく温かいおかげでしょうか…。美術としての陶芸を見直し、その価値に目覚めさせてくださったアーティストの一人です。

 私は、実際にお会いして同じ時間を過ごす中で、 彼女自身が持つ瞳の輝き、それが動物たちの瞳とそっくりだということに気がつきました。純粋に、朴訥に、正直に作品と向き合嘘の素直な性格が、作品に反映されているようでした。それが私に、作品に共感する気持ちを与えてくれるのだろうと思います。
 奈良出身の、はんなりとした口調が印象的な彼女。作品に素直に向き合う心を持った方。一緒にいると、私もそんな空気に包まれるようでとても嬉しく感じます。