リスペクト・アーティストNo.3

 リスペクト・アーティストの3人目は、同じ油絵を描いている方です。岩井綾女(いわいあやめ)さんといいます。彼女は埼玉出身で、「風」をテーマに埼玉の雑木林や野花を描く方です。私たちの目には映らないけれど感じる風…それを木立のざわめきに託して表現しています。

 私は初めて彼女に会った時、同時に作品を見た時、その差に戸惑いを感じました。こんなにかわいらしくはかなげな人が、ダイナミックで迫力ある力強い表現をするというギャップです。とても驚きました。

 

 ですが、彼女と話し、一緒に展示を行っていく中で彼女にもまた彼女にとっての絵画道があるのを感じました。作品に対してとても誠実です。キャンバス下地を私と同じように手作りし、自分にとって一番心地いい表現ができる工夫をしていますし、テンペラ絵具との混合技法(油絵具の古典技法の一種)もしっかり習得し、そのうえで自分の作品に転嫁しています。

 

 同じ自然物を描く作家ですが、「こんな表現方法もあったのか」「こんな風に自然を感じる人もいるのか」といつも新たな発見があり学ぶことが多くあります。

 彼女はいつも、ピンチの時も笑顔を絶やしません。それが元来マイナス思考に陥りがちな私を勇気づけてくれます。作品について、また女性として私が悩み落ち込んでる時も彼女と話すと、とても些細なことに思えてくるから不思議です。