ヴァニタス画②

 近代でもヴァニタス画の流れを受け継いだ作品は数多くあります。有名な作家もいます。ゴッホ、ピカソ、セザンヌといった私たちになじみある方々もそうです。

左は、ポールセザンヌの描いた静物画、右はピーテル・クラースという画家です。どくろは典型的なヴァニタス画の画題で「死の確実さ」を表します。敬虔なキリスト教徒であったセザンヌが、ヴァニタス画を学んでいないはずがありません。

 こちらはセザンヌが何度も何度も描いたセントヴィクトワール山の絵です。私はキリスト教徒でないのでぴんと来なかったのですが、この山は神山とされています。信仰の対象だったのです。セザンヌにとって山を描くことは神を描くことだったのではないかと思いました。

 

 絵はただ単に見て、美しさを楽しむのが第一ですし、わたしはそれが他の芸術分野にはない魅力だと思っています。ですが一歩踏み込んでこうやって読み解くのもまた違った楽しみ方だなあと思います。