ブリューゲルの作品

 ブリューゲルは、多くの市民を一つの作品の中にちりばめます。そしてその人たちが行っている行為をじっくりと読める作品を作ります。「ウォーリーを探せ」のような絵画です(もちろんブリューゲルの方が先です)

 これは彼の代表作のひとつ「ネーデルランドの諺」です。当時この国にあった諺を一つの作品にぎゅうぎゅうに詰め込んであります。たとえば、、、左端の「柱をかじる人」は《偏執狂的な人間、もしくは偽善者》という諺。右上の塔から川に突き出た出窓のようなもの(当時のトイレ)。そこから二人、お尻だけ出して、それぞれ排便をしています。「同じ穴を通して排便する」というのは《彼らは親友である》という意味の諺です。一番恥ずかしいことがともにできる仲ということでしょうか。。他にもいろんな行為にそれぞれ意味があります。

1559年にこの絵は制作されました。板に油彩、117×163cmという大きさの作品です。彼の絵画としてはとても大きいものです。細密画は時間がかかるのでこれだけの大きさを描くのは一苦労です。ベルリン国立美術館蔵。