日本画、蘭画について

 私は、油絵を描いています。油絵は江戸末期から明治にかけてオランダから日本に入ってきた絵画技法です。浮世絵などからわかるように日本の絵画は、平面的で立体感・空間があまりなく写実的というより、省略の美の強い物でしたので、西洋絵画は驚きの目をもって人々に迎えられたようです。

 左は葛飾北斎の作品、右は小田野直武という秋田蘭画の代表的な画家の作品です。私はどちらの作品も大好きです。北斎の作品は、雀の動的な動きで風が生まれて花が揺れているように感じます。小田野直武の作品は、花が擬人化され、遠くの汽笛を聞いているように思えてなりません。

 

 どちらも画材は日本画材ですが、表現方法の違いが顕著です。北斎に代表される浮世絵は輪郭線が強く平面的です。対し、蘭画は西洋的な立体感を表すために光と影を使った技法(陰影法)が使われています。北斎は宝暦10年9月23日(1760年10月31日)- 嘉永2年4月18日(1849年5月10日)、直武は安永9年5月17日(1780年6月19日)- 嘉永2年4月18日(1849年5月10日)に生きた同時代の画家です。いろいろな技法が流入してきた過渡期だったということがわかります。