大学の時、私はキャンバスの下地に胡粉を使っていました。これにチタニウムホワイトの粉とジンクホワイトの粉を混ぜ、膠水(ゼラチンを溶いた水)と油を接着剤にして下地の塗料を作っていました。
胡粉は岩絵の具の一種です。通常、日本画の画材として使われます。画面を盛り上げたり(盛り上げ胡粉)、単純に白色としても使われるようです。成分は炭酸カルシウムで牡蠣や帆立の貝殻が原料です。私は油絵画家なので、直接この素材を描写に使うことはありません。
胡粉は体質顔料でもあります。体質顔料は増量剤になります。他の顔料と混ぜてもその色が白く濁ったり変色することがありません。無色になり、単純に絵の具量を増やすことができます。また油絵具に粉のまま混ぜると乾きも早くなりますし、安価です。ですから予備校生のころはこれを混ぜて作品を描いていました。試験時間内にいかに早く、完成度の高い油絵を描くか?が問われていたからです。
こう書くと、油絵を描くにあたってとても良いもののようですが、やはり無理に絵具の質を変えていることになるので作品にとっていいことはあまりありません。。。油絵具に入れるとやはり色がくすみます。耐久性も悪くなります。作家となってからは描画に使いません。
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胡粉そのものはとても伝統的な天然素材です。日本は島国ですから貝類も豊富に取れます。自然に貝を利用するようになったのでしょう。ヨーロッパでは、これの代わりに天然白亜(ムードン)が使われます。
※ムードンについては後日書こうと思います(^^)
用途もバラエティに富んでいます。日本画のみならず、日本人形の絵付け、お寺の山号額、仏具の色付けにも使われます。
浪人生のころ、粉でのそれを見て、絵の具に混ぜた時に無色になるということを不思議に感じたものでした。見た目は灰色っぽい白なのですから…
「キツネの子(フォックスフェイス)」
(14×18㎝)・油絵
※もちろん100%油絵具です(笑)
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