サルについて(江戸川乱歩)

 江戸川乱歩の作品について少し考える機会があり、湯浅篤志さんの「乱歩で散歩」というユーチューブのシリーズを見ました。乱歩は上野、浅草、鎌倉といった場所にゆかりが深く、作品の中によく登場しているようです。その中で私が気になった作品とエピソードは「目羅博士の不思議な犯罪」です。

話の中の「私」は多分乱歩自身であろうと思いますが、語り手の主人公と上野動物園のサルの前で出会い、そこからお話は始まります。「猿まね」というキーワードをもとに展開していく物語で、乱歩のサルに対する価値観がわかる作品でした。月光の中の不忍池の描写や、木立のざわめきの描写が美しい短編です。

 

 今年は申年でもありサルに対する価値観が見える小説に新年早々出会えたことに偶然ではない何かを感じました。今度上野の猿山にいったらよくよく観察し、乱歩の感じたサルの魅力に触れたいと思いました。