故郷

 私の父母の実家は、東北仙台です。仙台市に父の、小牛田に母の故郷があります。私自身は生まれた時から神奈川県横浜ですから直接そこで暮らした経験はありません。ですが今でもちょくちょく叔父、叔母と連絡を取ったりしていますのでとても親しみを感じる土地です。

 

 写真は秋保大滝という宮城県でも有数の絶景スポットです。水量も多く日本の滝百選にも選ばれています。真夏でとても暑かったのですが、ここは大滝だけでなく周りにたくさんの支流があり、どこも美しかったことを覚えています。ともに言った母と叔母も、「疲れたけれど行ってよかった」と言っていました。

 

 私は滝の絵をよく描きます。滝はこの世と楽園を結ぶ架け橋だと感じるからです。ですから楽園の良いものを運んできてくれる滝にとても魅力を感じます。昔から悟りを開くため、滝に打たれるといいますし、人にとって共通の何かがあるのではないでしょうか。

 この作品は「桃源郷(滝にコウノトリ)」100×80㎝の油絵です。神奈川県山北町にある酒水の滝を描いた作品です。コウノトリはイメージです。どの場所でもそうですが、滝のそばは空気が清涼で、夏でも気温が低く、疲れ切った体に染み渡るような優しいエネルギーを感じます。

 

 にじむようなキラキラした日の光、若葉の緑、水の音…すべてが私を受け入れてくれるような気がします。私はそんな気持ちが感じられるような作品を作りたいと思っています。やさしく、後ろから支えてくれるような、それでいて大きく強い自然のエネルギー…それが私の目指す絵の形です。