色彩(黒)

 黒は使わないという作家は多いと聞きます。19世紀後半に一世をふうびした印象派は自然界には黒が存在しないという考え方をしました。「灰色や暗い色は補色を混ぜて作る。純粋印象派は黒を塗ることを避ける。(ウィキペディアより)」その考え方を受けたものだと思います。

 

 私は躊躇なく黒を使います。黒もいろいろな種類があって代表的なものは①アイボリーブラック②ピーチブラック③ランプブラックでしょうか。私はランプBを好んで使います。これはほかの2つよりも青みが強い黒です。チューブから出したときには黒の差をそんなに感じませんが、薄く溶いたり、他の色と混ぜると違いがはっきりと分かります。


 黒の名前は、興味深いです。①のアイボリーBはアイボリー(象牙)を焼いたススから作られていました。カルシウム分が多い動物性の黒です。動物の栄養が残っているのでカビが出る可能性もあるようです。②は桃の種から作っているという意味ですが、今ではその限りではないようです。植物性の黒です。③はランプのススから作られます。樹脂などを燃したススで一番青みが強いです。このように原材料が、そのまま名前になっている絵具は黒以外にもあります。ですが私には、黒についた名前が、絵の具を作った当時の暮らしを感じられるような気がします。ランプを使い象牙を取っていた、、、それらが身近にあった時代、、、その文化が今の私につながっている。なんとなくロマンチックだと感じてしまいます。(^^)


 ※下は黒を主として使った作品です。(お嫁入り済)㊧甘い蜜(イチョウと蝶)22×27㎝㊨弁天15×15㎝