絵には、当然色があります。私は絵の要素で一番大事な要素だと思っています。赤、青、黄色、、、例えば10メートル先から作品を見たとき、私たちは何が描かれているかを考えるよりも、色彩が目に入ってくるのではないでしょうか。直観的で、描く側にとっても、愛でる側にとっても、個人的な趣味や好みが反映されるものだと思います。
私にとって黄色は幸せを感じる色です。黄色といっても山吹色に近いもの、レモン色に近いものと幅はありますがそのどれをとっても魅力あふれる色だと思っています。特に、私はレモン色を思うとき、梶井基次郎の「檸檬」という小説を連想します。「その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた」この一文がとても好きです。
いろいろなことがあり心が重く、何を見ても、考えてもはっきりとしない時はこの本に感情移入してしまい、レモンの奇跡のように鋭い色が私の心にも突き刺さるような気がします。小学校か中学校の国語の授業で出会った作品でした。全体を通して色彩の表現が非常に豊かです。びいどろの色硝子とか、赤や黄のオードコロンやオードキニン、琥珀色や翡翠色の香水壜…とても美しい表現です。私は本に関しては、全くの素人ですが(苦笑)
印象に残る名著だと思っています。
右の作品は「きつねの子(フォックスフェイス)」14×18㎝・油絵具です。私が梶井基次郎の小説を感じたように、どなたかの心に残る作品になればよいと思います。
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