嫁入り

 作品の展示をしているとき、よくお客様に「こんなに一生懸命描いた作品なら、手放したくないのでは?」と質問されることがよくあります。「いえいえ、私は早くこの子をお嫁にやりたいです」と答えるようにしています(^^)


 私だけではないと思いますが、作家にとって作品は自分の子どもだと考えています。制作することがその子を生み出すこと、展示することはその子をお披露目すること、そして運よくお客様の手に渡ってくれることは、お嫁入り(笑)です。制作に日数がかかった(難産?)だった子も、自然にするっと完成した子もすべて私にとって、大切でかわいいかけがえのないものです。どの子も良い人に見初められ幸せになってほしいと願わずにはいられません。

 左の作品は「桃源郷(滝とコウノトリ)」33.3×19㎝・油絵具です。右は、「思い出(ノウゼンカヅラ)」22×27.3㎝・油絵具です。前者は、お嫁入りが済んだ作品で、後者はまだ家で運命の人を待っています。私は「桃源郷」を思うとき、この子が言った先でどんな風に過ごしているだろうか?お客様の暮らしを少しでも豊かに、暖かい空気を作る存在になっているだろうか?と考えます。「思い出」に対しては、えり好みの激しい子だなあ、まだ白馬の王子様に巡り合えないのね?でもあなたはとても魅力があるから自分を大事によい人を見つけてね。と考えます。


 私は、本当に多くの子どもを生み出してきました。これからもきっと今以上に多くの子を産むでしょう。