音、命

 よく、私の作品をご覧になった方から、「この白い丸はなんですか?」と聞かれる事がありました。(「朝露(16×23cm・油絵)」)私は少し答えに戸惑ってしまいました。この要素は全くのイメージの中から出てきたものだったからです。

 お客様とお話しする中で自分自身では気づかなかったこと、重要と思わなかったことが実は大切だったと気づかされることがしばしばあります。このエピソードもその1つです。そしてこれが実に作品制作する上で原動力になるのです。この丸いものは私にとって音だと考えています。絵画は音が聞こえません。(当たり前ですね(;^_^A)しかし私は絵に描く対象を観察するときいろいろな音を聴いています。こんこんと湧く水、風に揺れる木のせせらぎ、虫の羽音…生命の音とでも言うのかもしれません。それを表現する方法がこのような丸い形になっているのです。目に見えない何かが表現できたら、それを感じていただけたら幸いです。